”SDGs”とは ?ー企業の事例ー
みなさん、こんにちは。
本日からは、1つ目のトピックとして「SDGs」を題材に上げて、1〜17のゴールについて紐解いていきます。
ゴールのお話に入る前に、SDGsそのものとSDGsに基づいた日本企業と外資企業それぞれの興味深い取り組みを紹介します。
“SDGs” とは?
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、「エス・ディー・ジーズ」と発音します。日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年9月の国連加盟193ヵ国が参加する国連サミットで全会一致で採択された、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標のことを指します。
17のゴール(目標)とそれをさらに具体化した数値目標を含む169のターゲットが採択され、「地球上の誰一人として取り残さない」ことが誓われています。
<ファンスクmemo>
(その1)国連
∟国際連合の略。1945年に目的達成のために協力を誓った独立国家が集まって発足した国際機関で、平和維持と社会の発展を目的として作られました。平和と安全、経済、社会、文化、環境、人権や自由にまつわる難題をテーマに加盟国がディスカッションをする場として機能しています。国連は加盟国が決定したことを実行する機能を持ちますが、各国の政府や国民を代表する機関ではありません。
(その2)国連サミット
∟国連主催の国際会議。国連本部があるニューヨークで2015年9月に開催され、環境問題と持続可能な開発に関して議論されました。193の国連加盟国の首脳や閣僚、国際機関や民間企業、研究機関、市民団体などが参加し、2016年から2030年にわたり、国際社会と各国政府によって共有される行動計画「私たちの世界を転換する:持続可能な開発のための2030アジェンダTransforming Our World : 2030 Agenda for Sustainable Development」が採択されました。
参考:外務省HP「https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html」
SDGsは2016年からの行動計画として採択されていますが、日本でよく耳にするようになり、かつ意識が広がってきたのはここ1,2年といっても過言ではありません。
しかし、国民に馴染みがうまれる前から、「SDGs」の取り組みをはじめている企業は多数存在します。本日はSDGsの浸透も早い外資企業の事例を紹介します。
SDGs取り組み事例〜H&M〜
1947年に生まれたスウェーデン発のファッションブランド。発音は「ヘネス・アンド・マウリッツ」。2008年9月13日に日本一号店である銀座店の開店時には約5000人が行列をつくり、メディアも殺到。ファストファッションのブームを巻き起こした企業の1つといえる同社も早くからSDGsへの取り組みを実施しています。
外資系とだけあって、サステナブルが意識された企業の取り組みが、消費者にも見えるような工夫がなされていたり、消費者が自然とサステナブルな取り組みに”参加できる”仕組みが用意されているのが特徴的です。
まずは、H&Mのタグの中で、消費者にもサステナブルが”見える”「CONSCIOUS(=コンシャス)」とよばれるグリーンのタグがあります。サステナブルな素材を50%以上含んだ製品にのみグリーンタグがつけられます。
このタグがついている=環境に配慮した素材が使われている、ということが見てわかるというわけです。
デザインや素材で服を選ぶことが大半ですが、自分の選んだものが「環境にも配慮されている」ことがわかれば環境を意識するきっかけにもなりそうです。
また、消費者がサステナブルな取り組みに”参加できる”「ガーメントコレクション」と呼ばれる取り組みもあります。
いらなくなった衣類をお近くのH&Mのレジ横にあるリサイクルボックスへ入れるだけ。衣類のブランドや状態は問わず、たとえ靴下片方だけでもOKといいます。ゴミを捨てるにもお金がかかりますが、H&Mに持ち込むとリユース・リサイクルしてくれて、さらに次回のお買い物で利用可能な「500円割引きクーポン」が貰えるというまさに良いことづくめなのです。
何気ない生活の中でサステナブルを「意識させてくれる」のはスウェーデン発祥のグローバルな企業ならでは。
SDGsが採択され、行動スタートとなった2016年にはすでにこの取り組みが行われており、消費者を”巻き込む”スピードはすさまじいものがありました。ファッションというと、きらびやかなイメージが先行しますが、環境問題を脅かす問題を引き起こすこともあります。世界で排出されるCO2の約10%は、売れ残った服を焼却することによって出ていたりファッションの産業は水を多く消費する産業でもあることから、水質汚染にも影響を及ぼしているのです。
こうした現状を踏まえてもH&Mの取り組みは目を見張るものがあります。本日はまず、”SDGsとは”ということにフォーカスし、外資系企業の事例を紹介いたしました。SDGsは国がやることで国民(消費者)一人ひとりができるイメージがないと思われがちですが、意外なところでSDGsに貢献しているということも少なくありません。
SDGs取り組み事例:花王
「花王」は、「2020年度のSDGsへの取り組みの評価が高い日本企業ランキング(※)」で14位を獲得しています。「資生堂」「KOSE」とともに日本の化粧品業界のシェアトップ3に君臨しており、創業は134年前の1887年です。
明治20年は、江戸時代の鎖国状態から、西洋の文化が入って20年が経過したころで、西洋文化が日本に根付いてきた時代といえます。超老舗企業ですが、歴史がある分古い体質が残っていると思われがちかもしれませんが、全くそんなことはありません。
業界をけん引する企業はSDGsのゴールへの達成に加えて、商品の品質向上も同時に叶え、消費者からの支持が強固になる取り組みを多数行っています。
「花王」は、消費者が持続可能なライフスタイルを送れるように的確なアシストをするべくESGの戦略として、「Kirei Lifestyle Plan」を策定しています。
(※)調査:ダイアモンドオンライン社、対象者:約1万人、参考:https://diamond.jp/articles/-/252039
ファンスクmemo
ESG
∟「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)」の頭文字を取って名付けられた造語で、「イー・エス・ジー」と発音します。非財務の情報でありながらも企業へ投資する際に活用されており、より良い経営をしている企業を表す指標という観点から、企業投資の新しい判断基準として注目されています。
従来の判断基準とESGが注目されている理由
∟企業価値を計る方法としては、業績や財務状況の分析が主流でした。しかし、企業の安定的かつ長期的な成長には、環境や社会問題への取り組み、ガバナンスが少なからず影響しているという考えが広まり、ESG投資が世界的にも注目されるようになりました。現状の財務状況だけでは判断がむずかしい将来の企業価値を計る上上でもESGが重要な判断基準として採用されています。
花王は、生活者が求める暮らしを Kirei Lifestyle と定め、掲げているビジョン・コミットメント・アクションから戦略を作り、計画に落としこんだものを「Kirei Lifestyle Plan」として、社会のサステナビリティに貢献する取り組みを進めています。
誠実で清潔な“徳のある企業”であるための起源である「正道を歩む」という精神が「Kirei Lifestyle Plan」のベースになっており、「快適な暮らしを自分らしく送るために」「思いやりのある選択を社会のために」「よりすこやかな地球のために」といった3つの軸に沿って取り組みがなされています。
取り組みの代表的なものとして、「ユニバーサルデザインの採用」があげられます。ユニバーサルデザインとは、文化や国籍、性別や障害の有無などを問わず、特別な改造や特殊な設計をせずに、すべての人が、可能なかぎり最大限まで利用できるように配慮されたデザインを指します。「わかりやすい」、「使いやすい」、「安全・安心」の要素を融合すると、SDGsの重要な視点である「サステナブル(持続可能性)」すなわち「使いつづけていただける」配慮がされていると判断できるため、SDGsに関連する取り組みといえます。
画像は「花王」HPより抜粋していますが。このように見やすいカテゴリー表記もSDGsの1つ。何に使う商品なのかがわかりやすい配慮がなされています。
今やスタンダードになっているシャンプーボトルの側面の”きざみ”は、1991年から採用されています。はじまりは毎年数件ではあるものの確実に寄せられている『シャンプー・リンスの容器が似ていてわかりにくい問題』を改善するために、1989年から研究・開発がスタートしたものです。
寄せられたご意見の中には、「洗髪時に目をつぶっていても区別がつくようにしてほしい」といった見えていなくても判別できるようにしてほしいというものもありました。開発時に行われた誤使用の実態調査では、約6割が洗髪時にシャンプーとリンスを間違えたことがあると回答しているようです。
筆者も、シャンプーを購入したと思っていたら間違ってコンディショナーを購入してしまったり、洗髪時に先にコンディショナーを出して桶の中で待機させた経験があります。間違えてもそこまでの死活問題にはならないものの、間違えない方が良いに越したことはありません。
”きざみ”が入ったシャンプーボトルが発売されてからも「花王」の取り組みは終わりません。
発売と同時に、消費者の生活の質をあげるためには、自社だけで”きざみ”を入れるのではなく、業界で統一する必要があると考えられました。かねてより行っていた実用新案の申請を取り下げ、”きざみ”が業界統一のものとなるよう日本化粧品工業連合会を通じて業界各社にはたらきかけた結果、今では業界各社の賛同を得ることができ、ほとんどのシャンプーに”きざみ”がつくようになりました。
自社の取り組みの中に留め、実用新案を取得すれば、”きざみ”は花王が独占できる状態にありました。自社の技術力を守ることはもちろん、市場ニーズの取り込みと利益を考慮しても実用新案を取得することが現実的です。しかし、誠実で清潔な“徳のある企業”としての「正道を歩む」という「花王」の精神で、業界に働きかけてスタンダードをつくりあげていくことは簡単なことではないですよね。
SDGsが推進されるおよそ25年前からの取り組みはSDGsの根底を押さえており、日本を代表する老舗企業の取り組みは世界に誇るべきものだと感じます。
つくる責任・つかう責任
弊社もオリジナルブランド「ハイジニーナセラムシリーズ」の開発・製造にあたり、サステナビリティを意識したモノづくりをしてまいりました。「ハイジニーナセラムシリーズ」はデリケートゾーン専用コスメで、右からウォッシュパック、セラムとなります。
デリケートゾーンケアが習慣化されていない日本では、使い方やケアの方法を細かくお伝えしなければ「正しいケア方法の啓蒙」はおろか「フェムケア文化を日本に根付かせる」ことは到底難しいと考えています。
使用方法の説明書を作成したり、動画で伝えるといった方法はありますが、『正しく使用することへのハードルを下げる』ことが先決でした。
”洗う”ということは、当たり前の工程ですが、間違った洗い方をしてしまう人々が減らなければ意味がありません。
『誰が使っても簡単に、最高レベルのケアをお届けしたい』
ーこの視点から、”ウォッシュパック”が誕生しました。こすらずに汚れを吸着させるテクノロジーを駆使し、塗る→パック→洗い流すという簡単3ステップ。
お客様を想い、使命を全うすることがSDGsにつながっています。
2週に渡って、SDGsの本質と外資系・国内企業それぞれの事例を紹介いたしました。SDGsを意識した取り組みをしようと意気込むのももちろんですが、社会に還元できる方法を追求すると、おのずとSDGsにつながるのではないでしょうか。このコラムを機に、「社会に貢献できること」を考えてみてくださる方が増えると嬉しいです。
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